
17日の「春節」あたりから、春らしい穏やかな日が増えてきた。
陽気に誘われて、ニュータウンをつなぐ緑道を歩いた。香(かぐわ)しい匂いを放っていたロウバイ(蝋梅)の花が終わり、紅梅の下は花絨毯(じゅうたん)になっていた。
まだ寒い時期、黄色い花弁を下向きに咲かせるロウバイは奥ゆかしい。春の訪れを告げるマンサク(万作)、幸せを呼ぶ福寿草や菜の花、ぼんぼり小花が愛らしいミツマタ(三又)……。早春の花は不思議と黄色が多い。
ChatGPTに尋ねると、花の色には意味があった。黄色は昆虫に見えやすい色とされ、昆虫が少ない冬期に確実に受粉するには目立つ黄色が有利なのだと。植物の生き残り戦略に感心する。
日本の春を象徴する色は桜色である。黄色の花が終わる頃、日本列島の桜前線が約2カ月かけて北上する。先日、住宅街の庭先で早咲きの河津桜が咲き始めていた。
今年は梅も桜も開花が平年より1週間ほど早いようだ。河津桜発祥の地、静岡県河津町では春節の頃に満開を迎えていた。早咲きのカンヒザクラ(寒緋桜)などの自然交配によって生まれた河津桜。ソメイヨシノ(染井吉野)より早く咲き、1カ月ほど長く花を楽しめるのがいい。
一方、接ぎ木や挿し木で増やすソメイヨシノは同じ遺伝子を持つクローン種。河津桜と違って、一定の暖かさが続くと一斉に咲き、数日でパッと散る。そこに日本人は美学を感じてきた。
虫や生き物たちが地中から出てくる「啓蟄(けいちつ)」を迎えると、スイッチが入ったかのごとく多種の木花や山の草花が次々と花開く。早春に里山を歩くのは楽しい。生き物たちの協奏曲が聞こえ、身体(からだ)中の細胞がよみがえる。
(光)






