トップコラム魔の3月がやってくる ブラジルから

魔の3月がやってくる ブラジルから

ブラジルには「カーニバルが終わるまで、本当の年は明けない」という言葉がある。クリスマスの準備期間から年末年始のバカンスシーズン、2月初めの入学・新学期シーズン、そしてカーニバル週間と重要イベントが目白押しだ。

 その期間は怒涛(どとう)の消費シーズンでもある。クリスマスプレゼント、バカンス旅行、年明けと共に徴収が始まる固定資産税や自動車税、さらに新学期の授業料や教材費の支払いと続く。

 その後にやって来るのが、クレジットカードや分割払いで先送りしてきた現実、「魔の3月」だ。ブラジル国立商業連盟(CNC)の調査によると、ブラジルの家庭の76%が何らかの債務を抱え、借金の返済に苦しむ家庭も3割近くに上る。

 3月に入ると、各家庭の台所は文字通り「火の車」になる。カード残高は限界に達し、多くの家庭が日々の食費を切り詰めることも。子供の制服や教科書を買うために他の支出を削る姿は日常茶飯事だ。

 商売も同様だ。カーニバルまでの熱狂がうそのように、街の売り上げはピタリと止まる。経済活動そのものが完全に停滞するのだ。スーパーなどの支払いで何枚ものカードの利用残高を確かめながら利用する姿も。

 ブラジル人は、人生の今の時間を家族と共に幸せに生きることを大切にする傾向がある。3月の経済的な厳しさは毎年のようにやって来るのだが、それでも家族と共に人生を謳歌(おうか)することをやめないのはブラジル人のたくましさの一つだ。

 今年も間もなく、カーニバルの喧騒(けんそう)が去り、現実の厳しい風が吹き始める「新年」がやって来る。(S)

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