トップコラム出でよ、令和の八咫烏【上昇気流】

出でよ、令和の八咫烏【上昇気流】

 「神話は真実を語ろうとし、伝説は事実を語ろうとし、昔話は娯楽や教訓を語ろうとする」――。神話学では神話と伝説、昔話の違いをこんなふうに言ったりする。もっともその「真実」は現代とは異次元のもので「神聖性の記号」をひもとかねば知ることができないという。

 神武天皇の東征の折、紀伊半島の熊野から大和まで先導した3本足の「八咫烏(やたがらす)」はどうだろう。中国や朝鮮半島の神話にも「三足烏(さんそくう)」が登場するが、それは将来を予見し、その対処法を教えてくれる神秘的な存在である。八咫烏も戦わずして敵対勢力を臣従させた。

 現代的な見立てでは天皇軍に味方した熊野の土豪である。この地の険しい山岳地帯には岩場もあれば峡谷もある。よほど知識と技術、経験がなければ踏破できない。それをやり遂げたのだから修験者を思わせる。

 熊野は後に、雑賀(さいか)や根来(ねごろ)などの忍者を生み出す。八咫烏はそんな人々の先祖に当たるインテリジェンス集団の「記号」なのだろうか。情報戦に勝利しなければ、神武天皇は大和に入れず、初代天皇に即位することはかなわなかった。

 古来、「情報を制する者は世界を制す」と言われる。陸上自衛隊中央情報隊が八咫烏をシンボルマークのモチーフとしているのは頷(うなず)ける。

 総選挙で歴史的大勝を果たした高市早苗首相は、厳しい国際環境を乗り越えるため「国家情報局」を設置するという。これは「令和の八咫烏」と呼べまいか。建国記念の日に思いを馳(は)せた。

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