トップコラム藍染めツアーは過去への旅 ベトナムから

藍染めツアーは過去への旅 ベトナムから

 ベトナムの首都ハノイから北西に約300㌔離れたサパは、中国国境に近い高原都市だ。標高が1600㍍近くあり夏でも涼しいため、フランス植民地時代には避暑地として栄えた。今では高原リゾート地としてベトナム国民や海外旅行者から愛されている。サパの魅力は、広大な棚田が広がり、少数民族の生活が垣間見えることだ。

 その少数民族の一つ、黒モン族の集落を訪ねたことがある。着衣は黒の民族衣装だ。この深い黒色は、何度も藍染めしてほぼ黒に近い濃紺色に染め上げられたものだ。別の集落には青モン族がいるが、こちらの衣装は軽く染めた明るい藍染めだ。その色で部族の違いを映し出している。

 藍染めは、植物の藍の葉を発酵させて作られた染料を使い、長い時間をかけ繊細な色合いや模様を作り出すことができる。藍染めで得られる青色は、深みがあり、使い込んでも色落ちすることなく渋みを加える。

 黒モン族のカットカット村では、1000年以上受け継がれてきた伝統の藍染め工程を見学できる。

 藍染めにはこうしたシンプルな染め方と共に、ろうけつ染めも存在する。インドネシアでバティックと呼ばれている染め方だ。なお、モン族のろうけつ染めは、蜜蝋(みつろう)といってミツバチが巣を作るために分泌する蝋を精製したものを使ったり、楓蝋(ふうろう)といってカエデの木の幹から樹脂を採り精製したものを使ったりする。

 ベトナムの山や高原地帯に登ることは、伝統を紡ぎ出した過去への旅でもある。

(T)

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