トップコラム科研費増額を生かせ【上昇気流】

科研費増額を生かせ【上昇気流】

 誰もが家庭・地域において生きがいを感じる「一億総活躍社会」実現が打ち出されたのは安倍晋三政権の2015年。そのための柱の一つに生産性向上に至る科学技術イノベーションを挙げ、「名目GDP(国内総生産)600兆円」を目指した。

 その後、23年に通年で初めてその目標を超えた。しかしこの間、欧米の国だけでなく中国が技術大国として存在感を示し、アジア新興国も台頭している。わが国の科学技術先進国としての地位が相対的に低下傾向にあるのは否めない。

 イノベーションとは従来にない独創的なアイデアで新しい価値を生み出すことだが、注目度の高い論文数の順位の後退など若い研究者らの存在感の薄さが何ともつらい。彼らの奮闘と活躍こそ科学技術イノベーションの要だ。

 高市早苗政権は26年度の当初予算案で、「科学技術振興費」は25年度当初比1・1%増の1兆4378億円を、「科学研究費助成事業(科研費)」については、同約100億円増の2479億円を計上している。

 科研費は学生や研究者の自由な発想に基づく研究を格段に発展させることを目的とする「競争的研究資金」で、選抜された研究者らに配られる。昨年のノーベル化学賞受賞者の北川進・京都大特別教授も、科研費の支援を受け、受賞につながる論文を仕上げた。

 若手研究者らの国際共同研究に対しても大いに支援すべきだ。彼らにも「働いて働いて働いて……」という言葉を贈りたい。

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