古代エジプトの王ファラオが夢に悩んだ。よく肥えた7頭の雌牛が川から上がって草を食べ始めたところ、その後から貧弱で醜くやせた7頭の雌牛がやはり川から出てきて前の肥えた雌牛を食い尽くした。
王の問いに対し、エジプトに寄留していたイスラエル人のヨセフだけが「それは7年の豊作と7年の大飢饉」と夢の意味を解き明かす。食料の備蓄など徹底対策をしたおかげで国は危機を免れ、ヨセフは総理大臣に抜擢された。旧約聖書の創世記にある話だ。
何事にも国家の将来を予見し、その対策を怠ってはならない。中国が対日圧力の一環でレアアースの輸出規制に余念がない。わが国も2010年に中国が対日輸出を実質停止したことを教訓に備蓄の強化や調達先の多様化に取り組んできた。
今年1月の先進7カ国(G7)財務相会合でレアアースの対中依存度を迅速に引き下げることで合意に達した。片山さつき財務相が日本の立場と対中懸念を説明したことが大きい。
レアアースに限らず、島国で貿易国家たる日本の存立はシーレーン(海上交通路)の平和と安定にかかっている。南西諸島一帯さらに小笠原沖からフィリピンへの海域を押さえることが中国の戦略的狙いだ。
防衛力増強やスパイ防止法制定といった安全保障の強化は国家的備蓄を支える大きな命題でもある。コメの安定的供給などに向け、農業をはじめとする第1次産業の足腰強化は不可欠だ。そうした備えも忘れてはなるまい。






