トップコラム「鴨池」に水がない【上昇気流】

「鴨池」に水がない【上昇気流】

 東京都世田谷区北烏山に臨済宗大徳寺派の高源院がある。寺町通りに並ぶ寺院の一つで、創建は元禄16(1703)年。もともとは品川にあったが、関東大震災の被害に遭い、復興のために1939年に移転した。

 境内にある弁天池は「鴨池」とも呼ばれ、「せたがや百景」の一つ。渡り鳥が越冬することで知られてきた。池の中に浮御堂があり、橋でつながっている。「烏山弁天池特別保護区」でもある。

 このほど訪れてみると、ロウバイが満開だったが、池は干上がって水はなく、ひびの入った底がむき出し。カモなどの水鳥もいなかった。「宙水をご存知ですか?」という区のパンフレットが置いてあった。

 宙水とは地表に近い所にある地下水のことで、ローム層の中に粘土質があるために水を通し難いのだ。これに対し、地下の深い所にある砂礫層を流れている地下水を本水と呼ぶ。

 この二つの地下水があるのが世田谷の特徴。特に武蔵野台地の限定された地域で、地形や地質などの条件で宙水が分布している。弁天池の水源も宙水。そのため、建築工事に伴う掘削によって漏水を起こす可能性が高いという。

 パンフレットは、建築の際にはボーリング調査をして、宙水を保全するため、止水工法を実施する必要性を訴えたもの。2年ほど前ここを訪れた際、池を調べる区の調査員に出会ったが、彼女が危惧したように、宙水はなくなりつつあるのではないのか。今は雨の乏しい季節であるが。

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