
東京・上野動物園の双子のジャイアントパンダ、シャオシャオとレイレイが中国に返還され、国内のパンダは約半世紀ぶりにゼロになった。
テレビなど盛んに人々の「パンダロス」を報じている。確かにかわいいが、あまりに政治・外交臭が強くなってしまった。
1972年に日中国交正常化の象徴としてカンカンとランランが来日するが、パンダの外交利用は中華民国の蒋介石時代に始まる。抗日戦争中の41年、妻の宋美齢が米国の支援獲得を目的にニューヨークの動物園に2頭を寄贈した。中国共産党はそれを真似(まね)たのだ。
しかし中国を代表する動物のように言われるパンダだが、もともとはチベットの動物だ。生息地の四川省の西部はかつてチベットの領域だった。11年の辛亥革命以降、中国人が独立国チベットに入植して乱獲した。中国のチベット侵略を象徴する動物とも言える。
上野動物園、和歌山県のアドベンチャーワールドなど日本で生まれたパンダの数は約30頭に上る。繁殖の難しいパンダをここまで増やし育てるのは並大抵の努力ではなかった。日中の共同研究の成果だ。しかし所有権は中国にあるため、成長すると中国に送られた。
一時は国際自然保護連合の「絶滅危惧種」に指定されていた野生のパンダも、1900頭前後にまで増え、「危急種」に引き下げられた。外国で生まれたパンダは、その国で生育・繁殖させればと思うが、大事な外交カードを手放すわけにはいかないのだろう。






