トップコラム「国か個か」と問われれば【上昇気流】

「国か個か」と問われれば【上昇気流】

 「見据えるのは 国か個か」――。朝日新聞がこんな見出しで総選挙の争点を論じた(24日付)。自民党の政策を「国」、中道改革連合のそれを「個」と位置付け、対立軸にしつらえて いる。

「個」は朝日の“社是”と言ってよい。創刊145年の2024年に朝日グループの企業理念(パーパス)とビジョンをつくる上で「民主主義社会の重要な価値である『個の尊重』を前提」とした。それで何かにつけて「個の尊重」を唱えるのである。

 国民はどうか。朝日自身が世論調査で「憲法が掲げている個人の尊重が足りないか、憲法のせいで利己主義が広がっているか」と問うたことがある(13年5月2日付)。結果は「個人の尊重が足りない」34%、「利己主義が広がっている」45%で、利己主義を懸念する国民の方が多かった。

 こんな朝日世論調査もある。「家族の結びつきを強めることは国や社会の安定のために必要か。それとも、個人の自由か」(18年5月2日付)。結果は「国や社会の安定のために必要」65%、「個人の自由」32%で、家族強化派がダブルスコアで個人尊重派を圧倒した。

 仏政治思想家のトクヴィルは「個人主義は、初めはただ公徳の源泉を涸(か)らすのみである。しかし最後には、他のすべてのものを攻撃し、破壊し、そしてついには利己主義のうちに呑(の)み込まれるようになる」(『アメリカの民主政治』講談社学術文庫)と指摘した。

 国か個か、と問われれば、間違っても個と答えてはなるまい。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »