トップコラム30年に1度の少雨の冬

30年に1度の少雨の冬

気象庁と総務省消防庁、林野庁が合同で行った記者会見。林野火災防止を呼び掛けた=22日午後、東京都港区の気象庁

 東日本の太平洋側や西日本では1カ月間の降水量が「30年に1度の少雨」という。その影響なのだろう。各所で山火事が多発している。

 まず群馬県妙義山で昨年12月8日、山火事が発生した。火の勢いを見た時、麓の神社や民家に火が及ばないことを祈った。2週間後に鎮火し、ほっとした。

 神奈川県でも山林火災が立て続けに起こった。12月9日、伊勢原市の日向山、今月11日、秦野市の塔ノ岳中腹にある山小屋・堀山の家辺りから山火事が発生した。堀山の家は登山口の大倉と塔ノ岳山頂のほぼ中間にあり、ちょうどよい休憩地だった。完全焼失した山小屋を見た時は衝撃が大きかった。

 一方、今月8日発生の山梨県扇山の山火事は焼失面積約396㌶。県内では戦後最大規模と言われ、23日時点で鎮火に至っていない。乾燥し切った山林で火災が広範囲に及ぶと、鎮火は容易ではない。

 昨年2月26日、岩手県大船渡市で発生した山林火災は4月7日にようやく鎮火。市の9%に当たる2900㌶を焼失した。

 「自然の脅威には抗(あらが)えない」。何十年に一度と呼ばれる大災害に遭遇するたびに、人間の無力さを思う。

 先日、『NHKスペシャル「椎葉 山物語〝のさり〟の原風景」』というドキュメンタリー番組を放映していた。日本最後の秘境・宮崎県椎葉村(しいばそん)では今も焼き畑や犬を使ったイノシシ狩りが行われている。椎葉村の一年をカメラが追う。

 猟師は必ず山の神に猟の安全を祈って狩猟に出る。獲物が捕れると「のさった」。「のさり」とは熊本地方の方言で良いことも悪いことも、天からの授かり物として受け入れていく生き方なのだと。自然への畏怖と感謝。ここに村人の強さを見る。

 予報によると、太平洋側ではしばらくまとまった雨は見込めないとのこと。少雨と厳寒の冬を「のさり」で乗り切りたい。

(光)

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