
昨年末から、ある「サブスク」を始めた。ブラジル最大手の独立系太陽光発電事業者、オリゴ・エネルジーアが展開する会員制ソーラーファーム(共有太陽光発電所)への参加だ。
同社には三井物産や三菱商事などの日本企業も出資しており、その成長性は折り紙付きだ。仕組みは至ってシンプル。企業が投資した大規模な太陽光パネルの「枠」を一部借りる。初期投資はゼロ。アプリ一つで申し込むだけで、翌月から電力会社からの請求額が自動的に減額される。
わが家の場合、電気代は1割近く安くなった。「たかが1割、されど1割」。インフレによる物価高の折、年間で見ればこの差は大きい。スマホで節約額を可視化できる手軽さが、若者層にも支持されている。
こうした「分散型エネルギー・サービス」は、今やブラジルの総発電容量の約2割を占めるまでになった。背景にあるのは、水力発電が電源の約6割を占めるブラジル特有の事情だ。日中に太陽光で賄うことで、干ばつ時に備えてダムの水を温存できる。過去の電力危機を教訓に、国を挙げてリスク分散を進めた結果だ。
特筆すべきは、この仕組みが消費者の「節約」と直結している点だ。日本では再エネ普及のために国民が「賦課金」を負担し、いわば「痛みを分かち合う」構図が一般的だ。しかし、ブラジルのモデルは「再エネを選ぶことが、個人の利益になる」という明確なインセンティブに基づいている。
日本の再エネ政策に欠けているのは、消費者の背中を押すことができるワクワク感かもしれない。(S)






