トップコラム150年前の事件現場 韓国から

150年前の事件現場 韓国から

 年明け早々、仁川国際空港がある永宗島(ヨンジョンド)(韓国北西部)に住む旧知の韓国人に会いに行った。ソウル駅から空港鉄道に乗って小一時間ほど行くと、同島にある最寄り駅に到着。そこからタクシーで島の東端に位置する海岸近くの友人宅へ行った。「海に面して景色がいいから」と誘われ、近くにある「永宗鎮公園」という所へ行くと、そこには戦没者の慰霊碑が立っていた。聞けば、ここは明治時代初期に起きた、あの江華島事件の現場だったことが分かった。

 1875年、明治維新後の新政府が朝鮮に開国を迫る中、測量中だった日本の軍艦「雲揚号」が、江華島や永宗島の陸上砲台と交戦し、朝鮮側に数十人の死者が出た。「永宗鎮」とは当時の朝鮮守備軍の基地で、慰霊碑は犠牲者を追悼するためのものだった。昨年10月、事件から150年を記念する行事が地元関係者を集めて同公園で行われた。ここの管轄区長は「彼らの愛国精神を受け継ぎ、過去を記憶し、より良い未来を描くため最善を尽くす」と語ったという。

 公園の展望台から見える海は、かつて日本と朝鮮の間で武力衝突があった場所とは到底思えないほど穏やかだった。事件後、朝鮮は開国したが、日本のみならず宗主国であった清(中国)や欧米列強の干渉を受け続けるなど、周辺国に翻弄(ほんろう)されることになる。韓国は150年たった今日、先進国の入り口までたどりついたが、一方で今なお周辺国外交の方針が政権交代のたびに百八十度変わり、不安定の連続だ。海を見ながら韓国の「より良い未来」にしばし思いを馳(は)せた。(U)

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