
ベトナムでは、公式文書に使用するボールペンの色は青色と決まっている。だから入国審査や役場などで申請文書と一緒に置かれているボールペンは、すべて青色だ。郷に入れば、郷に従えだ。日本式に黒で書くと、書き直しになって二度手間を強いられるので要注意だ。
近年、好調なベトナム経済が吸引力となって日本人のベトナム在住者数も増えてきた。運転免許証の発行や更新、ビザ延長申請といったベトナムでの生活に深く関わってくる手続きをすることもいろいろあるはずだ。
なぜ青なのかというと、偽造防止のために定着したもようだ。
べトナムでは認証はサインによる。だがそのサインが黒色だと、コピーして文書偽造を図る人も出てくるため青ペンで書くことで偽造を防止したというのだ。昔はカラーコピー機はなかった。それで文書記入にも青ペンを使うようになったとされる。
なお、青色ボールペンはベトナム特有の事情というわけではなく、隣国カンボジアやタイでも同様の措置が取られている。
欧米諸国でもサインなどに青を使うことはあり、わが国の黒だけの方が特異なケースなのかもしれない。
せんだって日本で口座を作るため、申請手続きをした。使うボールペンは何の抵抗感もないまま青色を使ってしまった。すると受付の女性はにべもなく、黒色ボールペンによる書き直しを求めてきた。
「ああ! ここはタイやベトナムじゃないんだ」とつくづく実感した次第だった。
(T)






