
初冬に咲く花の一つにツワブキがある。花に乏しいこの季節、公園や団地の植え込みなどでよく見掛ける。花は鮮やかな黄色で、みずみずしさに心打たれる。葉はフキと同様に丸みを帯びているが、厚くて艶々している。
自然界にある野生の植物だが、山歩きをよくしている割に見たことがなかったのは、山ではなく海岸に自生しているから。日本人は野生の草花を庭に取り入れるのが得意で、これは和風の庭に合い、寺院や茶庭に植えられてきた。
江戸時代は園芸文化の盛んな時代で、後期には「奇品」と呼ばれる草木が大流行。斑入(ふい)りのツワブキもその一つで、水野忠暁の著書『草木錦葉集』(1829年)に描かれ、身分を問わず愛好されたようだ。
気流子が幼少のころ、できもので困った時、治療してくれたのは祖母。その治療薬が何だったのか知らなかったが、後にこのツワブキだと分かった。祖母は生け花の師匠でもあり植物に詳しかった。
庭にあるツワブキの葉を採ってきて、火鉢の火であぶって柔らかくし、冷えてから患部に貼った。一晩で治り、効果のすごさに感嘆した。近所に薬屋もあったが、民間薬の効能を体験した出来事だった。
フキもツワブキも香りがそっくりで、両方とも茎を佃煮(つくだに)にして食べる。が、ツワブキの方が色濃く、味も濃厚。この「きゃらぶき」は九州の名物で、茎の中に穴がないので区別できる。フキの姿は野生的だが、ツワブキの姿は品よく雅(みやび)やかだ。






