トップコラム登り納めで出合った富士

登り納めで出合った富士

精進(しょうじ)湖

 毎年、年末年始は富士五湖周辺の低山に登る。今年の正月、精進(しょうじ)湖の三方分山から見た大室山を抱いた子抱き富士は格別に美しかった。

 特に空気が澄む初冬、薄化粧した富士山は美しい。晴れた日は関東一円、遠くは新潟県の火打山辺りからも見える。

 近場で富士が見える山として、神奈川県伊勢原市の大山阿夫利神社奥の院が祭られている大山がある。ここは10回以上登った記憶があるが、いつも霧や霞(かすみ)がかかり、富士山を満足に見た試しがない。

 山は今晴れていても一瞬で雲や霧で見えなくなる。

 ところが今年は違った。11月中旬に登った大山山頂から美しい富士山を飽きるほど眺めた。

 そして12月、師走に入っても晴れの日が続いた。雪が積もる前にもう一度見ておこうと、富士山と最も距離が近い山梨県富士河口湖町の西湖南側にある足和田山を訪れた。

 昼前、山頂に着いたら期待以上に大きな富士山が目の前に現れた。山頂展望台から老年男性が「今年一年、ありがとう」と大声で絶叫していた。声が届くほどに富士が近しく感じられた。

 お昼すぎ、風が吹き始める。

 富士山頭上に浮かぶ小さな雲が現れては消え、気が付いたら円盤状の大きな笠雲に変わっていった。時系列で言えばわずか30分ほどの出来事。出合は一瞬なのである。

 真っ青な空に凛(りん)と立つ富士も美しいが、変幻自在な雲を配した富士は見る人を飽きさせない。

 日本には富士という名を冠した山や地名が至る所に存在する。富士山は日本人にとって平和の象徴、特別な存在なのだ。

 今年も残すところ1週間。来年こそ富士五湖から見た富士山のごとく平和で穏やかな年としたい。

(光)

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »