トップコラム国民行事だった紅白歌合戦【上昇気流】

国民行事だった紅白歌合戦【上昇気流】

 NHKが放送100年を機に1969年の第20回紅白歌合戦の映像を修復しカラー化したのを観(み)た。懐かしさもあって、2時間半ほどを一気に見終わった。月並みだが、あの頃はよかったという感想が残った。

 歌合戦という雰囲気があって、紅組、白組それぞれ歌い比べるように歌い手が登場する。出演者もステージ上の椅子に座って応援をする。この年は、白組は坂本九さん、紅組は伊東ゆかりさんが司会を務めたが、最後紅組の優勝が決まり優勝旗を受け取った伊東さんは感激の涙を流していた。

 それにしても何がよかったのか。歌唱力や独特の味を持つ歌手がそろっていたこともあるが、歌謡界だけでなく芸能界オールスターが途中の余興などに出演し、盛り上げる一大国民行事だったからだろう。

 昔は大晦日(みそか)と言えば、紅白歌合戦。これを観なければ年を越せないという雰囲気があった。実際、70年代から80年代前半の視聴率は70%台だった。国民の多くが観ているという意識が、不思議な一体感を生んだのだ。そんな一体感は、今はほとんど味わう機会がなくなった。

 世界は分断を深め、国内でも分断が進んでいるとの声がある。経済格差やイデオロギーなどは昔からの問題だが、それに加え、生き方から趣味に至るまで多様化を推奨する流れがある。ネット時代となって接するメディアも多様化した。

 これからの日本、多様性を尊重しながらも、共通のものを確認する場が重要になってくるだろう。

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