
マニラ市で防犯対策として、マスクや目出し帽などで顔を隠すことを禁止する、いわゆる「反バラクラバ条例」が始まった。背景にあるのは、都市部で日常化している「ライディング・イン・タンデム」と呼ばれるバイク2人乗りによる拳銃強盗や殺人だ。
ヘルメットで顔を隠したまま近づき、奪って逃げる。そんな事件が後を絶たず、市が「とにかく顔を露出させよう」と動いたのも無理はない。
しかし、違反すれば初回で1000ペソ(約2700円)の罰金。日給2日分ほどが消える計算で、庶民にはなかなか痛い。しかも条例では、バイク走行中以外のヘルメット着用も禁止される。宗教的なブルカやターバンは除外されるが、公共の場や商業・政府施設では、マスク、フード付きパーカーも禁止。配達員がバイクを離れ荷物を受け取ったり、届けたりする際もヘルメットを脱ぐ。正直、面倒だ。
日本と同じく、フィリピンでもコロナ禍以降マスクは生活の一部になった。都市部の空気は悪く、排ガスを浴びるバイク利用者にとっては健康対策でもある。持病の人は除外されるが、誰がどのように判断するのかも明確ではなく、若者団体は人権侵害だと反発している。
理屈は分かるが、マニラ市だけでどれほど防犯効果が出るのかは疑問だ。犯罪者はそもそも条例や罰金など気にしない。市民の日常生活で不便だけが増えるなら、本末転倒ではないか。(F)






