
東京都内の二つの大きな霊園をそれぞれ訪れる機会があった。台東区の谷中霊園と府中市の多磨霊園だ。どちらも都立で著名人の墓所が多く所在している。先人の遺徳をしのび、ある意味パワーをいただいた。
谷中霊園では隣接する東叡山寛永寺が江戸城の守りとして、現在の上野公園、動物園、博物館群、不忍池など広大な地所を保有していた。徳川幕府の絶大なる権力が背景にあった。やはりここにも外国人観光客が引きも切らない。
霊園には日本資本主義の父・渋沢栄一、そしてその近くには最後の将軍・徳川慶喜の墓所があったが、慶喜公のそれは鉄柵で厳重に囲まれ、中には入れない。やはり“別格”だと管理もVIP待遇だ。
一方、多磨霊園では東郷平八郎、山本五十六の両元帥海軍大将、児玉源太郎陸軍大将、キリスト教思想家の内村鑑三など多彩な著名人が眠っている。ここは平日ということもあってか、打って変わって閑静だった。
都立霊園としては最大の広さを誇り、東京ドーム27個分あるという。墓所の位置情報があってもなかなかたどり着けないほどだ。中には、先の大戦時のソ連共産党スパイだったリヒャルト・ゾルゲの墓所もある。死んだらこうしたスパイも共に手厚く葬られるという日本的死生観があるのか。
現在は皇居となった江戸城を挟んで東に寛永寺の寺群としての浅草寺はじめ寺社が連なり、西には多磨霊園などが広がる。鬼門除けとして永遠に機能してほしいものだ。






