トップコラム自衛隊歌「この国は」【上昇気流】

自衛隊歌「この国は」【上昇気流】

 「この国はふるさとの国ぞ、この国は父母(ちちはは)の国ぞ」――。終助詞の「ぞ」が、まるで自らに言い聞かせるかのように響いてくる。自衛隊歌「この国は」の出だしの歌詞である。

 福島県郡山市で開催された「第40回自衛隊郡山音楽祭」で思いを込めて歌い上げられた。作詞は大関民雄、作曲は古関裕而(こせきゆうじ)。創隊10周年記念歌として昭和35年に創られた最初の隊歌である。

 聴きつつ、日本を取り巻く厳しい国際環境に思いを馳(は)せた。歌詞が「美しき山河をおそう雲あらば、われら、われら立ちて護(まも)らん、ああ日本の自由と平和」と続いていたからだ。

 戦後日本のトレンドは「個人」とされるが、果たして個から「立ちて護らん」の思いは生じるだろうか。故郷という横軸と父母という縦軸があってこそ、身を賭す精神が湧きいずるのではなかろうか。

 先に同性婚を認めていない民法や戸籍法の規定を「合憲」と判断した東京高裁判決は、その根拠を憲法前文の「われらとわれらの子孫のために(中略)この憲法を確定する」に置いた。その上で「国家は、国民社会が世代を超えて維持されることを前提とする」とし、民法などの合理性を認定した。

 音楽祭は陸上自衛隊郡山駐屯地が毎年開催しており、部隊所属の音楽隊のほか、地元の高校、中学の吹奏楽部も加わり、世代を超えて勇壮かつ多彩に奏でた。「われらとわれらの子孫のために」はここでも脈打っていた。この国は、そうした歴史と伝統を誇る国なのである。

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