
「IT企業から家族が力を取り戻して復権する日だ」――オーストラリアが10日、16歳未満のSNS利用を禁止する、世界で初めての法律を施行した。
冒頭の言葉はアルバニージー首相が語ったものだ。日本でも若者の〝スマートフォン中毒〟が広がる。筆者は思わず膝を打った。使い過ぎによる脳の発達への悪影響に加え、いじめ、自死、性被害のリスクもあるのだから、企業の責任は重い。子供を守るための対応を求めるのは当然だ。
この動きは世界に広がるだろう。マレーシアやニュージーランドなどが同様の規制を検討しているし、欧州連合(EU)も議論が進む。SNSに家族の団らんを奪われていることに頭を悩ませる親が多いのは世界共通だ。では、日本はどうかと言えば、こうした規制には、関連企業だけでなくマスコミも抵抗するのが常だ。
20年前、日本小児科学会がテレビの長時間視聴は言語や社会性の発達に悪影響を及ぼす可能性があるとして、2歳児以下に長時間見せないことを提言した。この問題に関連し、東京でシンポジウムが開かれた時のことだった。
乳幼児へのリスクを指摘した専門家に対して、会場から「営業妨害だ」と声を張り上げたテレビ局関係者がいた。脳が未発達の乳幼児に情報量が多い映像を長時間見せることの悪影響は素人だって理解するだろうに、とあきれてしまったことが今も忘れられない。
30年前、マイクロソフトがWindows95を発売し、パソコンが一般家庭に普及し始めた時だって、未成年をインターネット依存から守る手立てを講じるのが遅いと憤った。しかし、企業の責任は厳しく問われないままスマホの時代になってしまった。
豪州にできたことが日本にできないはずがない。日本も豪州に続きIT企業から子供を守る時が来た。
(森)






