
政府のアイヌ政策推進会議(座長・黄川田仁志沖縄・北方担当相)が、アイヌ施策推進法(アイヌ新法)の改正見送りを決めた。施行5年後の見直しに合わせ、差別的言動への罰則規定創設などを求める声が上がっていたが、見送りは極めて妥当な判断だ。
黄川田氏は見送りの理由について「刑法で既に名誉毀損(きそん)罪、侮辱罪などの罰則規定が整備されている」と説明。「差別解消に向け、アイヌの歴史・文化の普及・啓発、人権啓発、相談事業などの取り組みを着実に実施したい」と述べた。
法律で罰するのでは、差別をなくすことに繋(つな)がらない。かえってアイヌの人たちとの関係をいびつにしてしまう恐れがある。それを政治的に利用しようという輩(やから)が出ないとも限らない。
意識を変えるには、何よりアイヌとその文化、日本文化との関係を知る必要がある。哲学者の梅原猛はアイヌを日本人の先祖、縄文人の血を引く民族と考え、日本の基層文化の中にアイヌ文化の「あの世」観と共通するものを見た。
アイヌにとって死後の世界は、地上とあべこべであるという。日本の葬式で、例えば死者の服を「左前」にするなど普段と逆のことをする「逆さごと」に、それが残っているのではないかという。
アイヌには後に、北方から来たオホーツク人のDNAと文化が混じるが、DNA解析で縄文人の直接の子孫であることが分かっている。先祖と基層文化を共有する民族として、まず親しむことが大切ではないか。






