最近、ふと思う。孫中山(そん・ちゅうざん)先生なら、今日の中国をどう言うだろうか、と。「中国革命の父」とされる孫文のことである。中華人民共和国憲法に「孫中山先生」とあるので、こうお呼びしよう。
先生には1924年に神戸高等女学校講堂で唱えた「大アジア主義」の有名な講演がある。西洋は武力で圧迫する「覇道」、東洋は仁義・道義の「王道」。覇道を廃して王道の大アジアを目指そう――。だから、先生はこう言うだろう。武力を振りかざす中国は覇道なり、と。
そんな中国にどう向き合えばよいのか。それには「改革開放の総設計師」と呼ばれた鄧小平氏の言に耳を傾けたい。74年に開かれた第6回国連特別総会での有名な演説がある。
「(中国が変節し)世界で覇を唱え、至るところで他国を侮り、侵略し、搾取するようなことがあれば、世界人民は中国に社会帝国主義のレッテルをはり、中国人民とともにこれを打倒すべきである」(同年4月10日)。鄧氏は覇を唱える中国を予見していたのだろうか。
北京市内の高架橋に2022年10月、巨大な横断幕が掲げられた。それにはこのように書かれていた。「不要領袖、要投票」(独裁者は要らない、投票が欲しい)、「不要文革、要改革」(文化大革命は要らない、改革は欲しい)。「独裁の国賊、習近平を罷免せよ」とも。
横断幕はすぐに撤去されたが、この文言は人々の心に刻まれている。「民権」を目標にした中山先生も大いに賛同されることだろう。






