
共産主義思想を体系化したカール・マルクスはユダヤ人で、父はユダヤ教のラビ、母はオランダ出身のユダヤ教徒だった。マルクスが6歳の時を前後して家族全員がキリスト教プロテスタントに改宗。その理由は当時のプロイセン王国での反ユダヤ主義の強まりが背景にあったとされている。
マルクスはベルリン大学時代、哲学に関心を抱き、ヘーゲル左派の強い影響を受け、キリスト教批判・無神論に傾く。
彼は、神は人間の創造物であり、人間の外にいて人間を支配する存在と考えた。『ヘーゲル法哲学批判序説』で、有名な宗教批判を展開する。
「宗教という悲惨は、現実の悲惨を表現するものであると同時に、現実の悲惨に抗議するものでもある。宗教は圧迫された生き物の溜め息であり、無情な世界における心情であり、精神なき状態の精神なのである。宗教は民衆の阿片なのだ」(光文社古典新訳文庫)。
マルクスが宗教を「阿片(アヘン)」と批判したのは、宗教は現世での苦難は来世で報われると説くことで人々を慰め、現世の苦しみを忘れさせ、社会変革への意欲を失わせる麻薬のような機能を持っていると考えたためだ。現実逃避と現状維持、思考停止のリスクを指摘し批判したのである。
「人間は考える葦(あし)である」とパスカルが述べたように、「考える」能力によって、人間は他の生物とは異なる偉大な存在となる。思考を止めた時、人間はその偉大さを失う。 (風)






