
広島県で特産の養殖カキが大量死した。県中部の東広島市沿岸などで「8~9割が死滅」との報告が相次ぐ。県は「災害級」と指摘している。
広島湾には六つの川が流れ込む。特に北部海域は太田川上流から森林がもたらす豊かな栄養分により、植物プランクトンがたくさん発生するので、身入りが良く濃厚な味のカキが育つ。この自然の恵みとカキ養殖業者らの工夫により、広島県は全国のカキ生産量の6割を占める。
生産を支えるのが、太田川源流に広がる国の特別名勝・三段峡の豊かな自然と澄んだ水。気流子も高校生の時、仲間3人でその渓谷にテントを張ったことがある。両側が絶壁の峡谷には、黒淵・猿飛・二段滝・三段滝・三ツ滝などの絶景が目白押しだ。
その一方で割と広々とした渓谷もあり、悠々とした流れの川を挟みキャンプ場がある。ただ近年、幾つかの滝の水量が減ってきているという指摘もある。
今回、被害の範囲は瀬戸内海沿岸の数県に及んでおり、海水温の上昇や少雨など複合的な要因もある。広島湾特有の事情がどれほど影響しているか原因究明が急がれる。
縄文時代から日本では、三段峡のような水源地域の山林を背景にした“森と水”の文化がつくられた。奥山の森から流れだす豊かで絶えることのない清流が良い海産物を生み出した。広島県のカキ養殖業者らは、1995年から「漁民の森づくり」という植林活動を行っている。自然と人間との共生が大事だ。





