
大相撲九州場所は、ウクライナ出身の新関脇、安青錦が初優勝を飾った。本割で大関琴桜、優勝決定戦で横綱豊昇龍を破っての堂々の賜杯だ。あっぱれと言うほかない。
今場所も何度か取組後のTVインタビューを受けていたが、その口から出る言葉は「自分の相撲を取ることを心掛けた」。優勝インタビューでも変わらなかった。立ち合いで低く鋭く当たって前傾姿勢を崩さず前に出る。これが安青錦の相撲で、とても分かりやすい。
対戦相手も突っ張りなどで安青錦の上半身を起こそうとするが、びくともしない。たまらずはたこうとしたり、引いたりして一気に寄り切られる。この鉄壁のような前傾姿勢を支えるのは、日頃の稽古、鍛錬によって作り上げられた強力な足腰、背筋、体幹などだろう。
相撲は心技体というが、安青錦の場合、それに「芯」を付け加えたくなる。その取り口にこれだけ一途な信念、芯を感じさせる力士も少ない気がする。
しかし、あの天性の運動能力と勝負勘を持つ豊昇龍に4連勝していることから見ても、ただ虚仮の一念で前に出るだけではない。琴桜戦では鮮やかに内無双を決めたが、技も鋭い。技能賞も3回受賞している。
戦火の祖国から日本に渡ってきて3年8カ月。あすの番付編成会議、理事会を経て初のウクライナ出身大関の誕生となる。初土俵から14場所での大関昇進は史上最速だ。「自分の相撲」を貫いていく先に、どんな勝負を見せてくれるのだろう。





