国内の造船業界が勢力回復に向け、大型の設備投資に打って出る。国内17社でつくる日本造船工業会の檜垣幸人(ひがきゆきと)会長(今治<いまばり>造船社長)は、2035年までの建造量倍増を目指して3500億円の投資を表明。国にも大規模な支援を求めている。
造船業はかつて日本のお家芸で、世界をリードしてきた。だが、1980年代以降の造船不況が深刻化する中、三菱重工業や川崎重工業など造船大手は建造能力の削減を続け、建造量で韓国、中国に抜かれた。世界シェアは以前の5割から今日では1割を切っている。
今回復活を主導する今治造船(愛媛県今治市)は当時中堅だったが、その後事業を拡大し国内最大手に。今治市は海上交通の要衝で天然の良港であるため造船業も栄えた。わが国の三大潮流の一つ、来島海峡を擁する。
造船不況前、同市の造船会社、来島どっくを見学したことがある。巨大な作業場で働く一人一人に造船王国を支える誇りが感じられ活気が漲(みなぎ)っていた。
同市はタオル製造が盛んで、80年代、小さなタオル工場がたくさんあった。潮風が流れる街を歩くと、あちこちでタオル織機のカタカタという音が響いていた。一時衰退したが高級タオル指向で復活、造船業も着実に生産基盤を広げてきた。
島国の日本にとって造船業再興は国防、経済安全保障上欠かせない。労働集約型の産業だが、船体は部分部分の集積でわが国のものづくりの技能が建造を支えてきた。官民投資を実現したい。





