今年の世相を反映した言葉を選ぶ「新語・流行語大賞」の候補30語が発表された。「昭和100年」「トランプ関税」「物価高」などメディアでよく耳にし、生活の中で実感する言葉だ。一方、新語の類では、こんな言葉は初めて聞くというのも多い。
昨年はテレビドラマ「不適切にもほどがある!」の略「ふてほど」が大賞に選ばれたが、「使ったことがない」との声が相次いだ。初めて聞いたという人も多かっただろう。選考者の見識が問われた。
今年も限られた世界で使われている隠語に近い言葉が結構並んでいる。「オンラインカジノ」を略した「オンカジ」もその一つ。若い世代が違法行為に軽い気持ちで手を染める、その「軽い気持ち」を反映しているようで、嫌な言葉だ。だが一部で使われているということ自体に、問題の深刻さがある。
もちろん犯罪を助長するような言葉が大賞に選ばれることはないだろうが、候補に挙げるのはどうかと思う。こんな言葉が若者を含む一部の人々に流通しているという現状を知らせ、警鐘を鳴らすというのなら分かるが。
流行語は世相を映すものだから、必ずしも昨年の大谷翔平選手の活躍が生んだ「50―50」のようないいものばかりではない。
それでも日本は「言霊の幸(さき)わう国」である。優雅な言葉遊びの伝統は大切にしたいが、言葉をおもちゃにするのはどうかと思う。そして何より嫌な言葉、良くない言葉はなるべく口にしない方がいいのである。





