トップコラム移民混合住宅政策への不満 フランスから

移民混合住宅政策への不満 フランスから

 コンサル企業の管理職に就くブリュノ氏は、12年前、パリ西郊外の高級住宅地に建つアパートを満を持して購入し、今は後悔の念にさいなまれている。理由は購入した地域に想定外の公営低家賃住宅が建設され、そこに住むアラブ系住民とのトラブルが絶えないからだ。

 「あんまりだと思う。その低家賃住宅の住人は、洗濯物を窓越しに干す。フランス人は絶対そんなことはしない。大きな音で聞き慣れないアラブ系の音楽をかけ、外に丸聞こえ」と言う。ごみ出しのルールを守らず、道路にごみが散乱している。ブリュノ氏は何回か低家賃住宅に文句を言いに行ったが効果はない。

 最近は、その低家賃住宅に住む若者にスクーターを盗まれた。通報したが、彼らは警官をまったく怖がらず、スクーターは返還されていない。

 彼はアパートの売却を決意しているが、騒動が増えたため、買った時よりかなりの安値でしか売れない事実を知り、怒りをどこにぶつけていいか分からない状態だ。

 実は10年前、オランド左派政権が移民問題と貧富の差による社会の軋轢(あつれき)を同時に解決するため、高級住宅地に低家賃公営住宅をわざと建てるプロジェクトを全土で展開した。

 ブリュノ氏は言う。「これはエリート政治家や官僚らによる理想主義の机上の空論で、現場を調査することなく実施した、大失敗例だ」と強く批判している。そもそも自分たちの生活スタイルを全く変えるつもりのない移民たちを強引にフランス人の一般市民と交ぜてうまくいくはずがないというのが成果のなさへの総括とされている。(A)

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