トップコラムサムライ・大リーガーの真骨頂【上昇気流】

サムライ・大リーガーの真骨頂【上昇気流】

ワールドシリーズMVPに輝き、笑顔を見せるドジャースの山本(中央)=2日、トロント(AFP時事)

 米大リーグ・ワールドシリーズ(WS)第7戦は、ドジャースが延長十一回、ブルージェイズを下し2連覇を成し遂げた。最優秀選手(MVP)に輝いた山本由伸選手はじめ大谷翔平選手、佐々木朗希選手ら日本人選手の活躍は誇らしい限りだ。

 山本選手の同一WSでの3勝は、2001年のランディ・ジョンソン選手以来、史上14人目の快挙。前日の第6戦で96球を投げた後、第7戦について「総力戦になるだろう」と言っていた。その時点で連投へ心の準備はしていたのかもしれない。

 敵地での圧倒的アウェー感の中、ブルージェイズの32年ぶりの栄冠への気迫はテレビ画面から否応なく伝わってくる。好プレーも続出した。リードを続けるブルージェイズが逃げ切るかとも思われたが、山本選手の度胸の据わった冷静なピッチングが逆転勝利を呼び込んだ。

 それはサムライ・大リーガーの姿を改めて野球ファンの眼(め)に焼き付けた。決して派手なパフォーマンスはないが、己に課せられた役割を淡々と、しかし全力を込めて果たしていく姿である。

 日本人投手の持ち味である制球力は、高い技術と共に精神力、自己コントロール力が求められる。そして何より、チームへの貢献を第一に考える姿勢だ。侍は主家への忠義を第一とした。

 飽くなき自己実現に挑戦する大谷選手も、基本にそれがあるから、皆に愛されるのだ。喜びを爆発させた日本人3選手の顔は、まさに野球少年のそれだった。

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