
高市早苗新政権の登場はこれまでとは違った様相を示している。それは「憲政史上初の女性首相」というにとどまらない。立憲民主党など一部野党の急進左派の激しい首相批判は常軌を逸している。
共産党の「戦後最悪の政権」フレーズはご愛嬌(あいきょう)だが、立民議員の首相所信表明演説に対する、聞こえないほどの執拗(しつよう)な大声のヤジは看過できない。さすがに世論の非難を受けて野田佳彦代表が注意せざるを得なかった。
これは女性という「性差」を超えた高市批判とも言える。既成メディアにおいても田原総一朗氏が「死んでしまえと言えばいい」発言で謝罪に追い込まれた。BS朝日も問題箇所を編集せず、そのまま放送しただけに罪は大きい。
いわゆる「高市下げ」は自民党総裁選の時から顕在化していた。露出度の高い政治評論家が「読み」の誤りをしぶしぶ謝罪していたが、そうした「空気」が“オールドメディア”に蔓延(まんえん)していたのだろう。
これまでも一般的に政権与党、特に首相に対する既成メディアの批判は多かった。だが、それは「政権監視」を至高とする役割の域を出なかった。「100日ハネムーン」という言葉に象徴されるように、まずは新政権の出方を注視するというスタンスだったのだ。
「安倍政権の再来」とも言われる本格的な保守思想の首相登場。それが、そうした“慣例”の余裕もなくすほど各界に大きなインパクトを与えたのは間違いない。時代の大きな転換をうかがわせる。





