トップコラム四季から「二季」への変化【上昇気流】

四季から「二季」への変化【上昇気流】

紅葉

 「この年になると、紅葉もいいなと思うようになった」と中堅クラスのお笑い芸人がテレビで話していた。30代半ばを超えると、そうした変化が起こってくるのは普通だ。若い時は、桜は気になるけれども、紅葉にはそれほど関心を示さないことが多い。春の桜に比べて、紅葉は地味な印象がある。

 木々は黄葉から紅葉へと移り変わっていく。遠くから見れば、黄葉も紅葉も色とりどりで派手やかだ。これに対して桜の花は、色彩はほとんど同じなのに桜流の派手さが残る。「花やぐ」のが桜の強みだ。

 桜の花が散った後には夏がやって来る。エネルギッシュな季節の到来を待ち焦がれる人々は多かったが、昨今の猛暑を体感すると「桜の後」はいかにもうっとうしい。

日本の季節が、四季から「二季」へと変わっていく可能性が本気で指摘されている。つい最近まで四季が普通だった日本としては「二季」では楽しいイメージは描きにくい。

紅葉も桜も、短歌や俳句といった文学作品の重要な題材だった。四季だから四つの変化があるのは当然だが、そのあたりの微細な変化がなくなる。二つしか変化がなくなっていく可能性は、ぼちぼち表れ始めている。

 地球では一定の周期で寒冷期と温暖期が繰り返されてきたが、現在の「二季化」や猛暑は人類が何とかしなければならない課題だ。「人類は試されている」とも言える。「人類はその程度のものだったのか?!」という判定だけは避けたい。

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