
パリのルーブル美術館に強盗が侵入し、フランス王室ゆかりの宝飾品9点が盗まれた。皇帝ナポレオン1世の皇后マリルイーズのダイヤモンドとエメラルドを散りばめた、ため息の出るようなネックレスなどだ。警備の不備を突いた7分間の犯行だった。
被害総額は約155億円に上るが、その歴史的価値は計り知れない。犯人らは宝石をバラバラにして売りさばこうとするのだろう。憎むべき犯罪だ。
この事件で思い出すのは、英国のロンドン塔に収められた宝物だ。国王の戴冠式で使用される「聖エドワード王冠」、議会の開会式で使われる「大英帝国王冠」、530・2カラットの世界最大のダイヤモンド「アフリカの星」を嵌(は)め込んだ王笏(おうしゃく)など「戴冠宝器」を中心にした宝物が保管展示されている。
ロンドン塔は人気の観光スポットで、ほとんどの入場者はこの宝物を目当てにやって来る。宝物館は分厚い扉を持った巨大な金庫室で、薄暗い中を動く歩道に乗って観(み)ていく。
100台以上の監視カメラが設置され、陸軍の特別部隊が配置されている。今も「現役」の王冠を含むだけでなく、140点余りの宝物には約2万3000個の宝石があしらわれているというから当然だろう。
価値ある宝物を所有するにはコストもかかる。日本政府は防衛費に長らく国内総生産(GDP)比1%以内という根拠不確かな足枷(あしかせ)をはめてきた。それだけ、人、国土、文化など日本の宝の価値を低く見てきたのである。





