
フィリピンの現金自動預払機(ATM)の引き出し上限は最高2万ペソ(約5万2000円)。たまに1000ペソ札(約2600円)が切れていると、500ペソ札40枚がドサッと出て財布はパンパンに…。現地に住んでいれば一度は遭遇するちょっとした試練だ。
そんな中、洪水対策事業を巡る大規模汚職で政界が揺れ、ついには「500ペソ札と1000ペソ札を廃止すべきでは?」という議論まで飛び出している。
きっかけは、大物政治家宅にスーツケースいっぱいの現金が数十台の車で運ばれたという、映画さながらの証言。これを受け元財務相は「高額紙幣を廃止し、大口の現金移動を難しくすれば汚職も減る」と提案した。
他国でも高額紙幣廃止の例はあるが、カナダの1000㌦札や欧州連合(EU)の500ユーロ札は、日常でほぼ使わない特殊な額。一方、フィリピンの500ペソ札と1000ペソ札は、スーパーの買い出しや家賃支払いで普通に使う紙幣だ。
もし200ペソ札が最高額になれば、2万ペソ引き出すのに100枚、最悪100ペソ札で200枚となり、財布には到底入らないボリュームになる。ATMの紙幣収容数を考えても、給料日恒例の現金切れはさらに悪化し、大行列は必至だろう。
電子ウォレットは普及しつつあるが、まだまだ現金依存は強い。汚職対策は賛成だが、庶民の負担が増える形では本末転倒だ。(F)






