トップコラム高額の産後ケア施設【韓国紙】

高額の産後ケア施設【韓国紙】

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 産婦の産後ケアは一生の健康を左右する。おろそかにすると関節痛、筋肉痛、うつ(鬱)など、さまざまな産後の不調が伴う。出産後、妊娠前の体の状態に戻っていくのに6週から12週ほどかかるが、この期間を産褥(さんじょく)期と呼ぶ。

 わが国は、伝統的に産後の「三七日(サムチリル)」を重要に考えた。3回の7日を意味する「セイレ」とも言い、子供を産んで21日までのことを指す。新生児や産婦のために門の外にクムジュル(禁縄)を張り、生臭い食べ物や刺激的な食べ物の代わりに、白いご飯とワカメスープを食べさせた。寒気がしないように体を温め、冷えた食べ物は禁じた。

 かつて産後ケアは、実家または姑が引き受けていた。時代が変わり、産婦の世話は産後調理(サンフジョリ)院(産後ケア施設)の役割となった。一定期間、産婦を集中的にケアする産後ケア施設は「サンフジョリ(sanhujori)」という英語の新造語までつくり出す韓国の独特な文化として定着した。

 昨年は、米紙ニューヨーク・タイムズの記者が、顔・全身マッサージなどのサービスを除いて2週間の費用が800万ウォンに達する韓国の産後ケア施設の入所体験談を紹介する記事まで出した。産後ケア施設の同期同士で集まる若い母親たちが増え、「軍隊の同期より絆が強い」という言葉まで出ている。

 問題は、費用と地域格差だ。保健福祉部(部は省に相当)によると、今年6月の産後ケア施設の全国平均利用料(2週間基準)は366万ウォンだ。2020年の274万ウォンから5年間で33・6%も値上がりした。(富裕層が多く住む)ソウル江南のA産後調理院の特室は、なんと4020万ウォンに達する。「陰圧観察室」や「陰圧新生児室」など、各種サービスを要求する過度な算術だ。全羅北道群山の120万ウォン(一般室)と比べ、実に33倍にもなるというので、びっくり仰天だ。

 口をあんぐりするしかない産後ケア費用は出産率を蝕(むしば)む。今年6月基準で、全国の公共産後ケア施設(平均利用料金174万ウォン)は21カ所だけだ。ケア施設全体(460カ所)の5%にもならないので、入所は空の星を取るくらい難しい。

 「子供1人を育てようとすれば、全ての村が必要だ」というナイジェリアの諺(ことわざ)がある。子供を育てる社会的・経済的な費用が多くかかるという話だ。一部の産後ケア施設の度が過ぎた算術に対する徹底した管理・監督と公共の産後ケア施設の拡充が急務だ。

 (10月13日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

「セゲイルボ」

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