トップコラム大阪・関西万博で人を観た【上昇気流】

大阪・関西万博で人を観た【上昇気流】

大阪・関西万博が閉幕の日を迎え、感謝の言葉が書かれた旗を手に笑顔を見せる来場者=13日午後、大阪市此花区

 人、人、人。笑顔、笑顔、笑顔――。「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに開催された大阪・関西万博が閉幕した。気流子は9月下旬にチケットをゲットし、朝の会場オープンから夜の噴水ショーまで丸1日、万博を堪能した。

 開場直後、幸いにもオーストラリア館には予約なしで入れたが、その後は行列、行列の連続だった。シンガポール館では1時間も並んだ。いや、1時間しか並ばなかったと言うべきか。人気のパビリオンは行列の長さに圧倒され諦めた。

 人が多いなら人を観(み)よう。そう考えて来場者を観ると、その顔が実によい。笑っている、見詰め合い、語り合っている。腕を組み、手をつないでいる。行列でも、むずかる子がいない。「ほんと、偉いね」と年配の婦人が声を掛けていた。

 大屋根リングの下を歩いていると、気のせいか、ほのかにヒノキの香りがした。日陰でくつろいでいる人を包んでいるかのようだ。まるで森林浴である。「いのち輝く」は未来ではなく今、現にある。そんな思いが湧いた。

 歌手・中島みゆきさんの「帰省」と題する歌には、都会の人混みでは敵のように人を押しのけるけれど、年に2回、8月と1月は譲り合える。それは故郷に戻り人を信じたから、とある。万博はそんな盆と正月が一緒に来た風景と重なった。

 来場者2500万人の笑顔は故郷に戻り家族と出会った人のそれだった。「地球家族」なら未来は輝く。そうありたいと念じた万博である。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »