トップコラム公明党の「ハル・ノート」【上昇気流】

公明党の「ハル・ノート」【上昇気流】

自公党首会談を終えた公明党の斉藤鉄夫代表(右)=10日、国会内

 政治の世界は「一寸先は闇」「筋書きのないドラマ」と言われる。高市早苗自民党新総裁の誕生は、それ。を改めて実感させた。しかしその後の公明党の連立離脱は、あらかじめ用意された筋書き通りのドラマだった。

 公明党の斉藤鉄夫代表は高市総裁に企業・団体献金の規制強化を求めたが、自民党にとっては極めてハードルの高いものだった。それを承知であえて突き付けたのだ。日米開戦直前、コーデル・ハル米国務長官が日本政府に提示した「ハ ル・ノート」を思い起こさせる。

 高市総裁は党に持ち帰って検討するので、3日間の猶予が欲しいと応答。しかし斉藤代表はこの場で返事がもらえなければだめだと、連立離脱を発表した。シンガポール陥落後、英軍のパーシバル司令官に「イエスかノーか」と全面降伏を迫った山下奉文(ともゆき)司令官のようだ。

 斉藤代表は「政治とカネ」の問題で自民党の対応が不十分なためとしているが、離脱は高市総裁が誕生した時点でほぼ定まっていたとみられる。

 公明党、特にその支持母体である創価学会が、保守路線を取る高市総裁を嫌ったのが最大の要因だろう。実際、政策面では自公両党の間に相当の開きができ、連立には無理があった。

 連立の解消は両党、ひいては日本の政治にとって歓迎すべきことである。自民党は保守政党の原点に返り、公明党は本来の中道リベラルの路線を示して有権者に支持を訴えればいい。それが日本の政治を前に進める道である。

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