トップコラム中国と「ホテル経済学」【韓国紙】

中国と「ホテル経済学」【韓国紙】

韓国紙セゲイルボ・コラム「説往説来」

 村外の人がある村のホテルに予約金10万ウォンを支払った。このお金は(村内の)家具店とチキン屋を経て文房具店(へと循環し)店主がホテルの掛け金10万ウォンを返済し、(後に予約がキャンセルされても)地域商圏に活気を与える。

 2017年、第19代大統領選の(野党)予備選候補だった李在明城南市長が基本所得・地域貨幣の効果と正当性を主張するため、自身のSNSに書き込んだ、いわゆる「ホテル経済学」論理だ。公式名称ではないが、当時、改革新党の李俊錫候補が批判的にこう呼んで、話題になった。

 今月末、慶州で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談を控え、ホテル経済学を巡る論議が起こった。中国側が首脳会談などを念頭に、契約書・契約金もなく新羅ホテルの客室462室と付帯施設を“丸ごと”貸館予約した。ホテル側はやむを得ず既存の顧客の結婚式日程を取り消すか、変更するよう要請した。

 ホテルの立場を理解できなことはない。国家的な行事を控えて、中国の最高位級人物の宿所提供は国益と外交レベルで重要だ。これに中国という“大物”顧客とVIPマーケティング効果、イメージ向上などを考慮すると、断ることは容易ではないだろう。結局、ホテル側は予定された結婚式数件の取り消し・変更を通報し、客室112室(の予約)を取り消した。

 ところが突然、中国側が予約をキャンセルして問題が起こった。仕方なくホテル側は既存の結婚式日程を変えた顧客に最初に予約していた日に結婚式を挙げられると案内し、客室の予約も再開した。野党の国民の力は、「これが李大統領が語っているホテル経済学なのか」として、政府とホテル側を強く批判した。

 ホテル全体を借りておいて一方的にキャンセルするのは「甲(強者)の横暴」だ。ホテルの損害も莫大(ばくだい)だ。結婚式の日程変更に伴う費用はホテル側が負担する。顧客の信頼を失い、最高級ホテルというイメージにも打撃を受けた。一方的にキャンセルした中国を相手に違約金や損害賠償を請求するのは思いもよらない。直接、予約金が入ってこなかったが、力の論理が蔓延(まんえん)するホテル経済学の冷酷な現実だ。

 中国のキャンセルで、結婚式を準備してきた複数の予備新婚夫婦が国家行事という名の下で混乱を経験したことは、今後も論争の種となるだろう。国民の時間・心理的被害はどうするのか。

 (10月2日付)

※記事は本紙の編集方針とは別であり、韓国の論調として紹介するものです。

「セゲイルボ」

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