
急速なAI(人工知能)の技術発展。技術の応用が世界で展開される中、遅きに失した感はあるが、政府は「AI基本計画」の年内策定を決めた。AI戦略本部の城内(きうち)実AI戦略担当相は「日本の文化・習慣などを踏まえた信頼できるAIを開発する」と話している。
日本人にとって身近で、日本から世界に流通した先駆的な機械にロボットがある。21世紀に入り、生活の場に溶け込んで技術の持つ意味を教えてくれる家庭用ロボットが登場する可能性もあったが、実現していない。城内氏が言及するのはAI搭載のロボットではなかろうか。
またAIの“頭脳”に使われる先進の半導体開発に、1970年代、わが国が半導体・コンピューター産業で世界のトップレベルに駆け上がる契機となった官民共同の開発プロジェクトのような国策的戦略が意識されているのも分かる。
「イノベーション」は新機軸という意味だが、2016年からの第5期科学技術基本計画でその語句が盛んに使われ、「経済成長の鍵となるのは科学技術イノベーションを通じた生産性の向上」と強調された。まさに今日の課題だ。
米スタンフォード大の調査によると、24年のAIへの民間投資額は米国が1位で約1091億㌦に達し、これに中国(約93億㌦)や英国(約45億㌦)などが続く。日本の投資額は約9億㌦にとどまり14位に甘んじる。
安倍政権後、政治・経済の停滞感が拭えない。新政権で勢いを取り戻したい産業分野だ。





