トップコラム政治を国民に返せ【政界一喝】

政治を国民に返せ【政界一喝】

 10月4日投開票の自民党総裁選が大詰めを迎えている。1年前、「反高市(早苗氏)」の消去法で総裁に選ばれた石破茂氏は、選挙戦で否定していた衆院の早期解散を強行。直前に自民党の話題を世の中に溢(あふ)れさせるメディア戦略も空振りに終わり、衆院選で与党過半数割れの惨敗を喫した。参院選でも今年、同様に過半数割れの大敗北となり、国民との乖離(かいり)が露呈した。

 「解党的出直し」に追い込まれた自民だが、総裁選は政治を国民に取り戻す契機となり得るのか。

 昨年、臨時国会で石破首相は「選挙公約は必ずしも実行しない」と発言。国民への約束を軽視する姿勢に、SNS上での批判とともに、日本政治のトップとして看過できない不信を招いた。

 国民民主党の「年収103万円の壁」見直し政策を基にした3党合意(2024年)も、2025年税制・予算審議で自公が、財政難を理由に歳出抑制を優先して値切る形となった。働く世代の支持が安定する国民民主は、石破氏が首相である限り連立入りはあり得ないと不信をあらわにしている。

 衆院選、参院選の連敗にも石破氏は責任を取らず、退陣を固辞。公約軽視に加え、選挙結果を無視するなど、国民主権を軽視する姿勢だった。特に国民の審判を反映しない政治は、民主主義の根幹を揺るがすものだ。

6月15日から17日まで開催されるG7サミットに出席するため、カナダのアルバータ州カナナスキスに到着した日本の石破茂首相と妻の石破佳子さん(2025年6月16日/UPI)
6月15日から17日まで開催されるG7サミットに出席するため、カナダのアルバータ州カナナスキスに到着した日本の石破茂首相と妻の石破佳子さん(2025年6月16日/UPI)

 国民の失望を招く資質の欠如は、外交でも露呈した。首相の外交や国際舞台での活躍は元来、国民の代表として希望と誇りを与える役割を担う。しかし、石破氏はAPECサミットでグループ写真を欠席、G7でも他国首脳との交流を避ける単独行動が目立ち、人脈構築の不得手が明らかだった。

 日本の存在感を損ね、内政の閉塞(へいそく)感と相まって政治不信を深く根付かせた。事実上の首相選抜であった総裁選を、党内論理から消去法に委ね、指導者の資質を見極めない党の体質は、国民との乖離を深めるものだ。

 そうして今年、総裁選への投票権を有する党員は14 万人減の91万人に縮小。国政選挙での国民民主、参政党の議席増(24年衆院選計23、25年参院選計26議席)、自民からの保守層の離反は、LGBT理解増進法(23年)などリベラル偏重の岸田文雄政権に端を発する。日本国民の伝統的価値観との衝突が、自民からの乖離を広げ、党勢衰退を招いた。

 少数与党となった自民だが、総裁選候補の小泉進次郎氏、林芳正氏は石破路線の継承を公言し、国民意識との乖離に無神経な態度だ。25年の消費者物価指数2・7%上昇(日銀7月予測)の中、物価高や医療・介護の不安に応えず、出直し感の欠如した党内論理の政治を続けるなら、新政権も支持を得られまい。国民の生活・経済政策を重視する声は、7割近くに上る(25年9月NHK調査)。

 総裁選で各候補が引用する「政治は国民のもの」との立党宣言を、看板に終わらせてはならない。「消費税を守り抜く」などと意固地な態度で国民に背を向けず、国民の納税による近年の税収増を生かし、財源の裏付けある合理的な減税政策を編み出すなど、具体的に国民と向き合う政治こそが求められる。

 そのような公約を掲げる候補者がいるのか? 総裁選は、自民党が国民意識を体現する党となる契機としていかねばならない。(駿馬)

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