
チョイト一杯のつもりで飲んで/いつの間にやらハシゴ酒/気がつきゃホームのベンチでゴロ寝……。昭和36年、ハナ肇とクレージーキャッツが歌って大ヒットした「スーダラ節」の出だしである。当時は高度成長の真っ盛りだったが、呑気(のんき)な時代でもあった。
そんなことを思ったのは最近、最寄りの私鉄駅のホームのベンチが、長椅子からひじ掛けが付いた1人用の椅子に替わったから。ベンチの場合は、小さい子供は半人分のスペースで座らせるとか、体調がすぐれない時は横になるなど融通が利いた。
鉄道会社としては酔っ払いにごろ寝をされては面倒だということなのだろうが、世の中何でも「お一人様」の時代なのかと寂しい気もする。
ホームのベンチについては近年、線路に平行に並んでいたのを直角に設置し直す動きが進んでいる。これは安全対策上の措置で、酔った人が椅子から起き上がって線路に転落するような事故も減少したことから広がったものという。
最寄り駅のベンチは線路に平行なままだが、これはホームが狭くレイアウト上難しいからと思われる。それなら、せめて酔ってもごろ寝のできない1人用の席にということなのだろう。安全対策であれば文句は言えない。
かつてサラリーマンが猛烈に働く代わりに、仕事帰りに酔っ払って少々狼藉(ろうぜき)を働いても大目に見られた。それで世の中のバランスが取れていた。しかし今は、そうではない。駅のベンチにも時代相が表れている。






