
福島県のJR郡山駅で下車した。郡山市が市町村別では鯉(コイ)の生産量が全国1位で、年間約830㌧を生産している。というので駅ビルで鯉料理のある店を探してみた。「もりっしゅ」という和食店があった。
さまざまな郷土料理に交じって「鯉のカルパッチョ」があり、注文した。カルパッチョはイタリア料理で、薄く切った洗いにドレッシングがかけてあり、同行者たちは「おいしい」と喜んだ。
鯉は年間を通して食べられるが、「洗鯉」は夏の季語で、冷水で洗って脂を落とし、歯応えのあるさっぱりした食べ物となる。酢味噌(みそ)で食べる。市内には鯉料理を提供する店があちこちにある。
だが、地元の知人らに聞くと、鯉料理はあまり食べないらしい。同市で消費を拡大しようと冬に「鯉食キャンペーン」を続けている。が、街を紹介した「こおりやまっぷ」を見ると、ラーメンの店はあっても、鯉料理のある店は1軒だけ。
鯉の影が薄いのだ。佐賀県の小城市を旅した時、ここも鯉の名産地で、洗いは客人をもてなす最高の料理だった。佐賀県は南も北も海なのに、小城市では海産物以上に、この川魚に人気がある。
全国名水百選に選ばれた清水川の上流に「清水の滝」があり、鯉料理の店が軒を連ねている。鯉はこの清流で養殖されているのだ。郡山市の場合、かつて灌漑(かんがい)用のため池だった沼が養殖場として使われている。この舞台背景の泥臭いイメージが、地元で人気のない理由ではないのか。






