
中国海軍3隻目となる空母「福建」が近く就役する可能性が高くなっている。いわゆる実戦配備だ。今月に入って沖縄県・尖閣諸島沖から台湾海峡を航行しており、「台湾有事」も含めて中国の海洋覇権の大きな切り札となろう。
福建は全長315メートル、満載排水量は8万トンに達する。搭載機は最大で80機に上る。1隻目の「遼寧」は旧ソ連からの払い下げを改修、2隻目の「山東」はほぼそのコピーだ。
福建の最大の特長は、遼寧、山東に見られるスキージャンプ台方式の艦載機運用ではなく、電磁力で射出する「電磁カタパルト」を備えたことだ。2017年に就役した米海軍の最新鋭原子力空母「ジェラルド・フォード」(10万トン級)が初めて採用した方式で、米海軍を強く意識したものだろう。
とはいえ、外洋海軍、特に空母運用については米軍にはまだはるかに及ばない。大電力を消費する電磁カタパルトだけに、通常型動力ではその運用も限定的になろう。建造中の次期空母が原子力動力とみられているのもそのためだ。
中国は15世紀、明の時代の武将、鄭和が永楽帝の命を受けて計7度の大航海を行った。その船団は東南アジア、インドからアラビア半島、アフリカ東海岸にまで到達したという。
この大航海でそれまで明と交流がなかった東南アジア諸国が続々と朝貢にやって来るようになった。かつての外洋海軍への「復権」をにらんだ中国の野望を象徴するのが福建ではないか。





