トップコラム「猛暑日」を超える名称【上昇気流】

「猛暑日」を超える名称【上昇気流】

今夏の記録的な高温を受け、気象庁は最高気温が40度以上の日に名称を付ける方針を決めた。危険な暑さをイメージしやすくするためで「酷暑日」などが候補に上がっているという。

気象庁によると今夏、40度以上になった観測点は群馬県伊勢崎市の41.8度を筆頭に延べ30に上った。年間の地点数として過去最多だった。40度を超えるというのは、30度台とはフェーズが違ってくる。それにふさわしい名称が必要だ。

しかし「酷暑日」というのは、どうも今一つ弱い感じがする。35度以上の「猛暑日」を超えた暑さということだが、けものへんの付く「猛」の方が激しい感じが強い。

酷暑と猛暑のどちらが暑いかなど定義はできないだろうが、猛暑の場合は客観的な暑さであるのに対し、酷暑は人間に対するきつさ、辛(つら)さのニュアンスが強い気がする。ただ、猛暑以上の異常な暑さというイメージはない。

「酷」の語源を漢和辞典で調べてみると、もともとは味の濃厚な酒の意味があり、転じて「厳しい」の意に用いられるようになった。「それは酷な話だ」というのは今でも普通に使われる。不人情を表す言葉に「酷薄」があるが、こちらは最近では小説でもまずお目にかからない。

もっとも「酷暑日」に決めてしまえば、使ううちにイメージが定着するということも考えられる。いっそのこと「残酷暑日」としてしまえばとも思うが、それでは残暑の厳しい日と誤解してしまう人が出てくるかもしれない。

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