トップコラム走る原点は「駆けっこ」【上昇気流】

走る原点は「駆けっこ」【上昇気流】

バトンパスの練習をする桐生祥秀(中央)と鵜沢飛羽(左)=4日、東京・国立競技場

「私たちのやっているのは駆けっこで、外国選手がやっているのはレースだった」――。日本人で初めて五輪(1912年、ストックホルム)に参加した三島弥彦(やひこ)は、短距離走の100㍍や200㍍などに出場したが、いずれも予選敗退。共に参加したマラソンの金栗(かなくり)四三(しそう)に「日本人には短距離は無理だ」と弱音を吐いた。

東京・国立競技場で開催されている陸上世界選手権は佳境に入った(~21日)。もっぱらテレビ観戦だが、短距離も中長距離も堂々たるレースが展開されており、思わず歓声を上げている、

34年前の東京陸上では100㍍を人類初の9秒8台で走ったカール・ルイス選手に圧倒され、三島と同じように「日本人には無理だ」と悲嘆した。今回はそんな思いは微塵(みじん)も湧かない。日本人アスリートは世界の一流選手と伍(ご)している。

明治期に導入された近代スポーツは当初、「競闘遊戯」と称され、競技種目は「運動の種類」などと呼ばれた。スポーツの呼び名が広がったのは、朝日新聞社が23年に発刊したグラビア雑誌「アサヒスポーツ」に依(よ)るところが大きい。創刊号(23年3月15日付)の表紙は短距離走のゴール写真で、三島はレースと言ったが、駆けっこの雰囲気がする。

小学校の体育授業は体づくりの運動遊びから始まり、陸上に関しては走・跳・投の運動遊びへと進む。これが陸上の競技種目だ。

三島よ、悲観するなかれ。世界的アスリートも走りの原点は駆けっこなのだ。

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