
この欄で先月、筆者の家(妻の実家)は中国地方の小規模都市で、人口が3万を割り込んだと書いた。繰り返しになるが、ピーク時は5万人を超えていたのだから、激減ぶりに驚いたのだったが、その後、市の広報冊子を見てさらに驚愕(きょうがく)した。市内の4軒に1軒が空き家なのだという。その割合は26%を優に超え、全国平均13・8%(令和5年)の倍近いのである。
近所を散歩しても、空き家が多くなっているのは感じていたが、数字は予想を超えていた。当然、市は対策に力を入れる。その一つが空き家バンク制度だ。空き家を貸したい人と、移住希望者など空き家を探している人をマッチングさせる制度は、今や全国各地の市町村が取り入れているが、26%超はトップクラスだろう。
わが家の近くにも空き家がある。親戚筋の家で7、8年ほど前までは高齢女性1人が住んでいて、妻とも交流があった。しかし、認知症で入院してからはずっと空き家で、女性も数年前に亡くなった。
その女性には姉妹が2人いるが、いずれも遠く離れて暮らしている。もともと古い家だが、家は住む人がいなくなると、傷みがひどくなる。家周りの草は業者に頼んで刈ってもらっていたが、家はとても人が住めるような状況ではなくなっている。その姉妹の1人からは、妻に「誰か、土地ごと買ってくれる人はいないかしら」と相談が持ち込まれていた。しかし、家の状態は年ごとに悪化。妻はその家の前を通るたびに気に掛けていたが、最近、ようやく買い手が見つかった、とほっとしていた。
他の自治体からの移住者なら、市は喜ぶのだろう。だが買い手はそうではなく、これも知り合いで近所の若者だ。これまでは親と同居していたが、家を建てて一家を構えるのだという。市の制度で見つけた空き家ではないが、空き家が1軒減るのだから、市としてもほっとしていることだろう。
(森)






