ノーベル賞の発表を来月に控えるが、今夏、文部科学省は「先端研究基盤刷新事業」計画を発表した。全国の研究者らが有用な研究設備・機器にアクセスでき、共用を前提とした研究施設を充実させて科学力強化を図る。
共用施設には、既に兵庫県の播磨科学公園都市に世界最高性能の放射光(細く強力な電磁波)を生み出す「スプリング8」がある。この放射光を用い、ナノテクノロジーやバイオテクノロジーの研究が進んで大きな成果を上げている。研究課題を申請し、許可を受ければ利用可能だ。
理化学研究所のスーパーコンピューター「富岳」なども学術・産業向けに提供され“開かれた”機器として知られる。政府はこれらの先例を見据え、AI(人工知能)、量子コンピューター、先進半導体などの開発競争で世界に勝ち抜くには「オールジャパンの研究基盤の構築が必要」という認識だ。
施設の共同利用を通じて、産官学連携の相乗効果でイノベーションを起こすシステムをつくり出すことも事業の狙い。今後、20程度の共用拠点を形成し共用システムに関わる情報の一元化を狙う。
戦後、自然科学系のノーベル賞受賞者は湯川秀樹、朝永(ともなが)振一郎各氏ら学術界から多く輩出されたが、その後は企業関係者が少なくない。エサキダイオードの江崎玲於奈(れおな)、タンパク質の質量分析の田中耕一、リチウムイオン電池の吉野彰各氏ら。
日本企業に優れた人材は少なくない。その才能も生かしたい。





