「これは20年戦争、いや、もっと長い戦争になるだろう」――。米国で3000人近い犠牲者を出した同時多発テロ事件(2001年9月11日)直後に取材した山田英雄元警察庁長官の言である。この記憶が9月になると蘇(よみがえ)る。
山田氏はテロ対策の第一人者だ。1985年に長官に就任し、昭和天皇在位60年式典や東京サミットで過激派警備の陣頭指揮を執った。その氏が「長期戦」と言うので「えっ、そんなに続くのですか」と思わず聞き返した。
9・11事件後、米国は「対テロ戦」を宣言し、事件発生から10年後の2011年にテロの首謀者、ウサマ・ビンラディン容疑者を射殺。オバマ大統領(当時)は「正義は達成された」と強調した。
それでもテロ組織は世界の至る所に存在する。フリー百科事典「ウィキペディア」を開けば、130以上の組織がずらりと並んでいる。バングラデシュ・ダッカのテロ事件(16年7月)では日本人7人が犠牲になった。決して人ごとではない。
対テロ戦で最も重要なのは「情報」だという。英米の情報機関は06年、通信傍受など徹底した内偵捜査で旅客機爆破テロ計画を未然に防いだ。わが国は犯罪が起きる前に治安当局が行う「行政傍受」を一切認めていない。「情報」で後手に回ってはいまいか。
「天災は忘れた頃にやってくる」(寺田寅彦)。テロという人災もまた、しかりだろう。9・11を明日に控え、改めてテロ対策が万全か、考えてみたい。






