
大阪・関西万博のシンボル「大屋根リング」は、主に国産のスギ、ヒノキで組み立てられており、国産材利用推進の広告塔の役割も果たしている。日本の住宅の多くは木造だが、安価な輸入材頼みが続いてきた。
林野庁によると令和5年時点で日本の木材自給率は約43%で、7年までに50%以上を目指す。ところが、国産材のうち住宅の梁(はり)や柱に使うものの取引価格がこの8月から上昇。生産コストが高止まりし、それを理由に製材会社が値上げに踏み切ったという。一時的な傾向であることを願いたい。
わが国では昭和50年代半ばから輸入材が増加したため、代々続いた林業家の多くが事業規模の大幅縮小を余儀なくされた。その結果、林業の担い手は激減し、事業維持の難しい時代が続いてきた。国の手厚い援助、てこ入れには限界があった。
その後、安倍晋三元首相は第1次政権で「未来に夢を持てる農業、林業、漁業」「所得が増えていく第1次産業」を目指し、意欲と能力のある経営者には森林を集約させるなどの措置を取った。
日本は国土の約3分の2が森林。経済や暮らしの中に第1次産業の“柱”が立ってくれば、地域と山林、都会と山間部の間の地域的、機能的な断絶は解消するという安倍政権の見立ては正しい。
一時は見る影もなかった林業だが、国産材需要は高まっている。自然相手の仕事に魅力を感じる若者の参入も増えてきた。大屋根リングの遺産の一つが林業の復活であってほしい。






