敬老の日(15日)が近いが、わが国の長寿ぶりは定着している。厚生労働省の調べによると、2024年の日本人の平均寿命は男性で81.09歳(世界6位)、女性87.13歳(世界1位)と、トップクラスだ。
「人間五十年、下天の内をくらぶれば、夢幻の如くなり」は、織田信長が今川義元を破った桶狭間の戦いに出陣する際に謡い舞ったとされる『敦盛』の一節である(『信長公記』)。本能寺の変で49歳で倒れただけに予言めいた感があるが、当時は50歳が平均寿命でもあった。
平均寿命は、その年に生まれた0歳児が平均してその後何年生きられるかを示した指標という。平和な、そして生活環境も格段に向上した中での寿命だろう。とはいえ、明治に至るまでの江戸期でも現代に引けを取らない長寿者もいた。
記録で明らかなのは、大名を見ると最高齢は伊予宇和島藩主の伊達宗紀(むねただ)で98歳、広島藩主の浅野長勲(ながこと)が96歳、信濃松代藩主の真田信之が93歳など90歳代(数え年)で少なくとも6人いる。
一方、意外なのは徳川将軍家だ。初代の家康(75歳)と最後の慶喜(77歳)を除いて短命が多い。7代家継に至ってはわずか8歳だ。大柄かつ頑健で知られた8代吉宗も68歳とそれほどでもない。
幕政のほとんどは官吏に委ねられていたとはいえ、将軍としてのストレスは命を削る思いがあっただろう。最長寿の慶喜は将軍在職わずか1年、維新後は悠々自適にカメラなど趣味に生きたことが大きかったのかもしれない。






