わずか96歩、1分にも満たない行進のために半年間にわたって来る日も来る日も歩き続ける兵士たち――。自由も個性も許されない世界を見事に描いた中国映画がかつてあった。「大閲兵」(1985年、陳凱歌(チェンカイコー)監督)である。
中国建国35年記念の国慶節閲兵式に向けての若い兵士たちの訓練を描くが、陳監督はそこに集団化の葛藤という痛烈な皮肉を込めた。上映されるまで2年間も検閲を受け、手直しを強いられた。
きょう、北京の天安門広場で行われる「抗日戦争勝利80年」の大閲兵はどうだろう。何せ嘘(うそ)で着飾った軍事パレードだ。さぞや集団化の訓練に時間を要したに違いない。
中国共産党が抗日戦争で勝利した事実はない。日本軍は中国国民党軍とは戦火を交えても共産党軍とはほとんどなかった。「百団大戦」(40年)があるが、これとて国民党軍編入後に第八路軍として戦ったもので、日本軍の被害はさほど大きくない。
毛沢東ら幹部は陝西省北部、高原地帯の延安に籠(こも)っていた。終戦後、スターリンの力を借り、武装解除した日本の兵器を手に入れ、国民党軍を台湾に追い出し「中華人民共和国」を創った。
「政権は銃口から生まれる」(毛)。中国人民解放軍は「党の絶対指導下で革命の政治任務を執行する武装集団」で、建軍記念日は国家成立よりはるか以前の27年8月1日、共産党の南昌蜂起の日だ。それを正当化する道具立てが嘘で着飾った「抗日」なのだ。大閲兵でとくとご覧あれ。





